第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
side黒尾
自分の腕に閉じ込めたまま射抜くように彼女を見つめて淡々と質問をする。
「さすがに気づいてほしいんだけど」
『え…?』
さすがに気づけよ。
俺には好きなやつがいて、今俺の腕の中にはお前がいて。これってもう答えだろ?
「分かんない?俺が誰を好きか」
『え…っとでも私は赤葦くんと付き合ってて…』
「お前が他の誰かを好きになっても俺はお前が好きだよ。」
やっと言えた言葉は少し震えていたと思う。
『けどそんな素振り…っ』
「俺が優しくすんのも、気にかけんのも、食の好み覚えてんのだって全部…全部だからだよ。」
ああ止まんねえ…カッコ悪。
『う、そ…』
「嘘に見えるかよ」
『見えな、い。』
「好き。が他の誰を好きだろうと俺はずっとお前が好き。フラれたくせに諦め悪ぃのも分かってる。でもごめん。お前のこと好きな気持ちとか全然…消えてくんなくて。」
『…』
「声聞くたびに、笑顔見るたびに、あぁ好きだなって。何回フラれても好き。タイミング絶対今じゃねえけど…伝えたかった。」
やっべえ泣きそう…クソだせぇ。
『…そんなふうに…思ってくれてたなんて知らなかった…。』
「だろーな」
取られるくらいならフラれた方がマシだなんて思ったいつかの俺は馬鹿だなきっと。そんなわけねぇじゃん。取られたくもないしフラれたくもない。
伝えたいことは好きってただそれだけ。
でも伝えるだけじゃ全然足らねえ。
俺と同じ好きをにも返してほしいと思う俺は我儘だと思う。
でもさ、好きなんだもんしょーがねえじゃん。
どうしようもないくらい好きだから
赤葦には悪ぃけど…こっからエンジンかけますわ。
to be continued…