第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
side 赤葦
木兎さんと一緒に風呂入ると毎回のぼせそうになる。大浴場で泳ぐ典型的な人って感じするけど。あついな…。
合宿4日目の夜。
昨夜は外で女子会が開かれていた。
髪を下ろしたさんがいて、まだ少し濡れた髪とか火照った顔とか…すごく綺麗で。結っていてもおろしていても本当によく似合うと思った。気がついたら口に出ていた。
――
「あんたやっぱちゃん狙い?」
――
白福さんに言われた言葉が脳内を巡る。そうなの…だろうか。彼女をもっと知りたいと思うし、ふとしたときに目で追っているとは思う。
今日もいるかな、なんて考えながら自販機へと足を進めるとマネージャー陣の話し声が聞こえてくる。
『赤葦くんだ!お疲れ様〜』
「お疲れ様です。毎日ここで女子会してるんですか?」
『そうだよ〜音駒だと女の子1人だからすごく楽しくて…へへ』
「何それ可愛い〜!もうマネだけで今度遊び行こ!?」
『わー!それいいっ』
音駒だと1人…1年のマネージャー入らなかったのか。そういえば3年のマネもいないし…黒尾さんが目立ちすぎて分かりずらいけど孤爪も大概さんを気にかけているし、リベロの夜久さんとだってすごく仲が良さそう。容姿も心も綺麗な人だから音駒が彼女に過保護になるのは仕方の無いことかもしれない。
「俺とも遊んでくださいよさん」
『え?』
「赤葦攻めるね〜」
「あ、いや…この前教えてくれたカフェ。男だけじゃ入りずらいんで一緒にと思って。」
『ああなるほど!えと、駅前のところの?』
「はい。一緒に行ってくれませんか?」
『もちろんだよ』
「…っありがとうございます。」
なに、なんだこれ…心臓きゅうってなった。
嬉しくてドキドキしてなんか…やばい。
「良かったじゃん赤葦デートの約束ゲットできて〜」
「はい、良かったです。」
『日はまたメールで決めようか』
「そうですね、じゃあ俺行きます。また明日。」
なんだろうこの気持ち。上手く言い表せないけど凄く嬉しい。足取りが軽い。胸はなんだか締め付けられるような感覚。でも嫌じゃない…心地いい。