第11章 狂おしいほど愛してる (番外)
「兄貴〜喉乾いた〜」
二徹の昼帰り死ぬ。ドカっとソファに腰を下ろして動けなくなってしまった。でも喉は乾いた。
「ちょっと兄貴聞こえてる?」
『はい、竜胆くんどーぞ』
「えっ、ちゃん!?」
『蘭くん自分の部屋もどったよ?
お風呂入りに行ったんじゃないかな』
「気づかなかった…ごめん飲み物ありがとね。」
『どーいたしまして。お隣座っていい?』
「もちろん」
あー…今日もクソかわいい。
飲み物持ってこさせちまった…。
『二徹お疲れ様でした。
何か食べたいものとかある?』
「俺ちゃんの料理全部好きだからなぁ」
『竜くんいつも美味しそうに食べてくれて嬉しい』
「だって全部うまいもん!
でもそうだな…クリームパスタとか?」
『あー、いいね!そうしよ!』
「ほんとに俺の好きなもんでいいの?」
『もちろんだよ?楽しみにしててね。あ、でも生クリームなかった気がするから買い物いってくる!』
「そんなん下の奴らに行かせたら?」
『私たちが食べるご飯だもん。自分で行くよ』
ちゃんのこういうとこが好き。
俺らみたいに腐ってない。綺麗な心をもってて、凛としてて、こんな普通の女の子がガキの頃から族をやってたなんて信じ難いけど…あの頃から俺はずっと彼女に釘付けだ。
「俺の車で良ければ出すよ」
『疲れてるのにいいの?』
「もちろん」
『ありがとう、助かる!』
2人きりで出かけたかっただけってのが本音だけど。ちゃんの役に立てるなら俺だって車の運転くらいするし疲れなんて吹っ飛ぶ。
「速攻風呂入ってくるから待ってて」
『はーあいっ』
「あれ、竜胆どっかいくの?」
風呂から出てきたであろう兄貴が俺を見て言う。
「夕飯の買い出し行ってくる」
「へー、珍し。車?」
「そーだけど」
なんか面倒くさそうだなニヤニヤしやがって。
「竜胆が運転すんの?」
「そーだけど?」
「珍しいこともあんだなー?
いつも下っ端にさせてんのに」
「いいだろ別に俺だって運転くらいするし」
「ふーん、と?」
「だったらなんだよ」
「べーつにー?寄り道すんなよ〜?」
茶化すようにヒラヒラと手を振って自室に消えていった兄貴。からかいに来ただけかよ…。