第1章 好きです先生 (松野千冬)
『ふふ、花垣くんと橘さんはお付き合いしてるのかな?』
「も、もうタケミチくん!静かにしてよっ」
「ご、ごめんヒナ…つい…」
ふんっと拗ねて赤くなったヒナにちゃんが答える
『うんと…女の子にとって恋は魔法です。
恋してるだけで可愛くなれると私は思ってます。彼のために可愛くなりたい、もっと好きになってもらいたい、振り向いてもらいたい…努力する女の子は無敵です!だから皆たくさん恋をして笑顔で過ごすことが…大切かなって思うよ。って答えになってなくてごめんね…?』
「いえ、ありがとうございますっ」
はいつぎー、とドンドン質問を受け付けるちゃん。その光景に、目の前にちゃんがいるこの光景に見惚れて何分たっただろうか。
『━━くんっ…松野くんっ』
ガタッッ
「は、はい…っ」
ぼーっとし過ぎてた…急に名前を呼ばれて勢いよく立ってしまった。
「おいなんで立ち上がってんだ千冬!」
不思議そうに見上げる相棒と視線がぶつかる
「あ…いや…っ」
そう言って着席した俺にちゃんが話しかける
『松野くんは…なにか質問ありますか?』
ああこの人はきっと俺だって分かってて…なのに初対面のふりをして意地悪く言うんだ。いたずらっ子のようにニコニコしながら聞いてくる隠しきれぬ無邪気な表情にドキッとする。
「いや…えっと…。
あー…。好きな男のタイプ…とか?」
何言ってんだ俺…いや確かに知りたいけど…!
「ほんとにどうしたんだよ千冬うう」
『タイプかー…そうだなあ。
大人っぽくて、だけど無邪気で…何かを一生懸命成し遂げようと努力の出来る人…かなあ。誰かを信じることも信頼されることもできる人が…タイプです。欲張りすぎですかね…?あははっ』
「そ…っすか。あざす。」
ヘラっと笑って話してるけど、そのタイプの男って誰っすか。俺には明らかに誰かを思い浮かべながら話してるように聞こえてならなかった。もし本当にあの人と別れてるんなら…まだ好きなんかな。
その後も質問コーナーは続いていたけど全く頭に入っこなかった。授業終了のチャイムがなるまでちゃんのタイプ?…をぐるぐる考えてた。