第10章 約束 ( 北信介 )
『…し、信介くん髪乾かさな…っ』
「そうやな、乾かしてくれるか?」
『ええよ、そこ座って』
とにかくこの状況を変えんと心臓破裂してまう。信介くんの髪の毛が半乾きだったことを思い出してベッドに座らせることに成功した。
「なぁ、侑とどこ行ったん?」
『え…っ?』
「気になるやん。…彼氏やし。」
『か…かれし…っ』
やばいほんまに心臓うるさい…。
彼氏て…改めて言われると無理やぁあ!
「教えてや。侑と何してきたん?」
『海浜公園の方に行ってきてん。
素敵なカフェがあるいうてな。』
「へー。それってデートやんな。」
『デートいうか…お詫びとお礼やねん。
スポドリの粉とかで返すつもりやってんけど、放課後だけでええから私の時間がほしい言われて。まあええかって。』
「そうなんや。ええな侑。」
『え?』
「俺もとデートしたいねんけど?」
な、なんや…っ彼氏モード信介くんやばいで。破壊力やばいでこれ…心臓もたへんて。
『こ…今度なっ』
「今度っていつ?」
『今度は…今度や』
振り返った信介くんが私の手からドライヤーを奪って電源を切る。クイッと肩を押され、そのままベッドに背中がついた。視界には信介くんと天井だけ。な、な、なんで押し倒されてる…!?
「なぁ今度っていつなん?
なかなか休みあらへんし今続きシてええ?」
『つ、続き…?』
「知らん?」
『知ら、ん…』
「教えてあげるからお利口さんにしとき」
覆い被さるように近づいてきた信介くんから3度目のキス。はむはむと唇を食べるみたいなさっきまでとは違うキスに体温が上がっていくのがわかる。
逃げそうになる私を察してか指を絡めながら手を握られる。すごく変な感じ…もっと欲しい。もっと。
「目とろとろやで?」
『ふぇ…?はぁ…っはあ』
「…っあかん、可愛ええ」
『…え?』
「好きやで…」
『ん、わたしも…んぁっ』
やっぱり最後までは言わせて貰えずに再び塞がる唇。あったかくて心地いい。幸せや…信介くんと両思いなんて。
「ほんまに止まらんくなりそうやわ。」
『そしたら、ね…寝る?』
「そやな、電気消そか。」