第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
『…っ圭介くん?』
「おいテメェ」
「な、によ」
圭介くんの鋭い瞳が付き添いの子を睨みあげる
「なんでコイツのこと睨んだ」
うそ。この子が私を睨んだから怒ってる…の?
「だってこの子ばっかりおかしいじゃない!」
「謝れ」
「なんでよ」
「謝れっつってんだよ」
『圭介くん…っいいよ。ありがとう。』
「でもよ」
これ以上事を大きくしたくない。
もう睨まれるくらい…いい。自分がどうとかよりカズくんを悪く言われる方がよっぽど悲しい。それに圭介くんが怒ってくれただけで十分だよ。
『いいの。ありがとう。』
「もう行こう」
付き添いの子が今にも泣き出しそうな彼女の手を引き教室を出ていった。気まずい空気が流れる。
「これだから後腐れないやつがいんだよ。」
「おい一虎。のこと巻き込むんじゃねえぞ。コイツに矛先が向くのも時間の問題だろ。」
「わーったよ。
悪かったな。帰りにお前の好きなカフェでケーキ奢ってやるから許して。」
「もうガキじゃねんだから食いもんで釣られるわけねぇだろ」
『ほんとに!?やったあ!
何食べようかなあ〜』
「釣られんのかよ」
「ははっ、変わんなくて安心するわ笑」
睨まれたことなど心底どうでもよくなった。
頭の中はケーキでいっぱいになる。
何を食べようかな。それにしてもカズくんと2人でカフェに行くのなんていつぶり?楽しみだなぁ。
「おら、いくぞチャイムなる」
『あ、はーいっ』
「じゃあな場地」
「おー」
『またね圭介くん』
「ん、またなー」