第1章 好きです先生 (松野千冬)
「千冬…おい千冬っ」
おいおい朝からうるせーな
こっちは寝てんだよ…
朝のHRとか起きてる意味ねえだろ。
昨日はあんまり寝れなくて…なのに相棒が毎朝迎えに来るから今日もこうやって時間どおり学校に来た。まあ寝てるだけだけど。
「おい相棒!おきろって!」
「あーうっせえ寝みぃんだよ!」
『おはよう松野くん…寝不足かな?』
その声に視線を教壇へ向ける。
「え…っ?」
『今日から高野先生の代わりにこのクラスの担任をさせていただきます。です。担当教科は英語です。よろしくお願い致します。』
おい待ってくれよ…ちゃん…?
担任が子育てかなんかで代わるってのは聞いてたけど…
小さい頃家が近くてよく遊んでもらった。
すげえ可愛くて優しくて頭が良くて…
スポーツまでできて…俺の憧れだった。
そんで俺の…初恋の人…。
「おいおい千冬!
先生可愛いからって見惚れすぎだろっ」
「うっせ…」
そんなんじゃねえよっていつもなら返すのに…そんなんじゃなくねえから言えなかった。自分でもビビるほど今でも好きなんだよな…。
『朝から元気だなあ、ははっ
えっと君は…花垣くん!』
「え、先生もー名前覚えてんの!?」
『みんなと早く仲良くなりたいので…!
先生頑張って覚えてきました!堅苦しい感じとか苦手なので…ラフな感じで仲良くしてくださいね』
「「「「「「「「「はーいっ」」」」」」」」」
ちゃんはいつもそうだ。
こうやって優しい声とか可愛らしい表情とか…一瞬で男も女も虜にするような人だった。変わってねえな…。
大学が忙しいとか何とかいってここ2年くらいまともに会ってなかったし、最後にあったのは俺の勉強がやべえって母親が心配してちゃんが家庭教師っつって勉強教えてくれたんだよなあ。勉強どころじゃねんっつうの。
『えっと…このあとの1時間目はこのまま私の授業なんだけど、初対面1発目から授業はなーと思ってて、質問タイムとかにしよーかなーなんて思ってます…どうかな?』
「いいでーっす!」
『わー、元気なお返事ありがとう柴くん!
では、そういう事なのでチャイムが鳴ったら教科書とかは用意しなくていいから席についててください!朝のHRおしまい!』