第6章 狂おしいほど愛してる②(梵天)
私を抱きしめる腕の中で目が覚める
まだ薄暗い明け方。
「…はよ。」
『…マイ 「前みたいに呼んで」
…万次郎おはよう』
「ん、はよ」
『ごめんね起こしちゃった?』
「いーや?俺もなんか目ぇ覚めただけ。」
『そっか。それならいんだけど。』
昨日は何故かマイキーの部屋に吸い込まれるように帰ってきた。体が無意識に安心を求めていたのかもしれない。
昨夜ノックもせず突然部屋に入ってきた私を驚くことも追い出すこともしないで迎え入れてくれた。
そしてただ抱き合って眠った
「…なんかあったか?」
『いや…ほんとに何も無くて…。
ただ一緒にいると落ち着くから来ちゃった。』
「そうか。何もねえならそれでいいけど。」
『万次郎は心配性だねえ。』
「お前は俺の全てだからな。」
ふっと笑ったマイキーが私の頭を撫でて額にキスを落とす。優しくてあたたかいキス。
『私さぁ…皆のこと本当に大好きなんだ』
「ん…知ってる。」
『ずっとみんなと暮らしたいなあ』
「お前が望むならそうしたらいい。
誰も反対なんかしねえよ。」
『ふふ、そうかもねっ』
皆なんだかんだ甘やかしてくれるからなあ…
「今日の夜は誰んとこ行くんだ?」
『今日は春くんのとこいく』
「三途か…ここ最近激務だったから喜ぶだろうな。」
『春くんはさ、ただ一緒にいるだけでいいんだって
言うからこうやって抱き合って眠る日が多いかも。』
「へー、がっついてそうなのに意外だな。」
毎晩誘われるまま気の向くままに誰かの部屋を訪れては抱かれ…を繰り返している。だけど春くんはただ一緒にいられれば俺は幸せだからって私を抱きしめて眠るだけの日が増えてきた。
ほんの少し前までは竜くんと競うように
何度も何度も私の中に欲を吐き出していたのに。
何度やっても私がアフターピルを飲むから諦めたかな。
竜くんは変わらず “俺との子作って?”って
甘い声で強請って毎回中に出す。
ピルのおかげで1度も妊娠した事はないのだけれど