第1章 好きです先生 (松野千冬)
『じゃあ次は私が乾かしてあげる!』
そう言って振り返ったちゃんが下に座っているせいで自然と上目遣いになる。か…かわいい…。
「いや、でももう乾く…っ」
『ちゃんと乾かさないと風邪ひくよ?
久しぶりに会えたんだし昔みたいにさ、ね?』
そんなんいわれたら適わねえよ…
「あ…じゃあ。おねがい」
ちゃんが俺の手からドライヤーを受け取り、ベッドにあがって俺の後ろに膝立ちをする。優しい手が俺の髪を撫でるように手櫛を通して乾かしていく。
『短いとすぐ乾くからいいねー』
「んーそうだね家だと乾かさねえ時もあるし
ちゃんずっと長いもんな」
『私も短くしよーかな』
「えー切っちゃうの?
俺ちゃんの髪長くて綺麗で
すげえ似合ってると思うよ」
『あの人にさ…短いの見てみたいなって
言われたんだけどさ…切る前に私…
振られちゃった…ははっ』
苦しそうに話す彼女に背中を向けている俺は勇気をだして本音をいってみた。
「俺は長い方が好きだから…
だから俺のために切らないでよ」
はーーまじ何言ってんだよ。
ちゃん黙り込んでんじゃん。
困らせてどーすんだよ…。
『んー、わかった。
千冬くんのために切らないよ』
「え?」
『え…?
あれ…もしかして冗談だった…?』
「いや、本気…です。」
『ふふ、ありがとう千冬くん
はい、乾いたよ。寝よっか』
「ありがとう。ん、寝る。」
寝るっつったけど…どこで寝りゃいいんだ。
別の布団が出されてるわけでもねえし
あ、俺ソファてきな?
いや一緒にベッド?…まさかな。
『ごめん千冬くん
うち来客用の布団とかなくてさ…』
分かってます僕はソファで寝ます。
『一緒にベッドで寝るとか…どう?』
「へ…?」
『や、襲ったりしないから!
こんなオバサンと寝たくないかもだけど!
2日間だけ…我慢してくれるかな…?』
「警戒心…なさすぎだろ…っ」
『やっぱ嫌…だよね?』
「はあ…むしろ嬉しいっつの…」
『え?』
「いや…一緒に寝よ。」
頑張れよ…俺の理性…。
『うん!
昔したお泊まり会みたいで
ワクワクするね千冬くん!』