第1章 好きです先生 (松野千冬)
俺を抱きしめるちゃんが少しだけ…ほんの少しだけ震えてたから…俺はそっと頭を撫でてみた。
『千冬…くん。
ごめんね弱いとこ見せて…。
ふぅーー。勉強しよっか!』
「いや全然いいよ…
むしろ頼られてるみたいで嬉しい。
勉強…はい…します。」
頼りにしてるってバシバシ俺の肩を叩いて笑顔をみせてくれたちゃんにいつか俺の隣で笑って欲しいと心から思った。
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「…っ。わっかんねえ…!!」
『うんとこれはね…』
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「ねえこれは?さっきと一緒?」
『んーちょっと違うんだなあ』
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「んーと、これがこう?かな?」
『お!そうそう!すごいよ千冬くん!』
ちゃんの担当教科は英語といえどこの人はなんでも出来るんだよな。数学も現文も古文も…化学や生物、地理に公民…どんな先生よりも丁寧で分かりやすい。しかも好きな人に教えて貰えるからヤル気出る。俺得。
『あーもうこんな時間か…っ
千冬くんそろそろ帰んないとだね』
「えっもうそんな時間?」
バッと時計をみると20:00を回ったところ。
結構長いこと集中してたな…。
プルルルルルル┈┈┈
『あれ、おばさんからだ…』
母ちゃんから…?
『うん…うん…私は全然…うん大丈夫だよ
うん…はーい…明日から土日だし…うん
仕事無いから全然…うん…伝えるね…うんばいばーい』
「母ちゃんなんて…?」
『おばさんすっごい疲れて今日はもうなんもできないーって。明日家の事とかバーッと片付けたいから千冬くん預かってくれないかーってさ。私は全然いいから千冬くんさえ良ければ今日と明日泊まってかない?おばさん休ませてあげようよ。』
え…なに夢…?
おれ2日間泊まるの?
ちゃんの家に…?
「え…俺は全然いんだけど…服とかないよ?」
『元彼のが…まだあるから…
それで良ければ使って?
未開封の下着もあったと思うから用意しとくね』
あの人と住んでたから少し広いのかな…この部屋。
よく見てみれば男が好きそうなシンプルな家具とか
食器とか…きっと一緒に住んでたんだよな…。