C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第8章 アジトに朝帰り※
現実世界に帰れる可能性が見つかった今、うれしいことなのになぜか、わたしは喜べないでいた。わたしのことを信じてくれた黒の暴牛のみんなや、わたしを必要としてくれるランギルスの存在がこの世界にいたい、という思いを強くしていた。
ランギルスは一度も行ったことのない場所に空間魔法は使えない、と言っていた。何かの条件が揃うと、現実と繋がる空間を作り出すことができるのだろうか。一瞬でも、現実世界と繋がったことはヤミ団長に報告するべきだと思った。
ランギルスはわたしが黒の暴牛団にいることを知らないし、言わない方がいいと思っていた。魔法騎士団は星の取得数を競い合っている仲で、ランギルスは魔力が強いが故に、プライドが高い。もしも、さっきランギルスが話していたお兄さんがどこかの魔法騎士団にいたとしたら、ランギルスが不愉快な気持ちになると思ったから。
ランギルスといる時間を大切にしたかった。わたしといる時間だけでも、ランギルスにとって安らかな時間であってほしかった。この先、さっきの謎の出来事の真相がわかって現実に帰ることになったとしたら、この世界にいる時間は限られている、そう思った。この世界にいても、ランギルスとずっといっしょにいられるわけではないし、会えない日が続くことも多かった。
そばにいると言っても、お互いに別の場所でこの世界を生きていた。現実世界のようにこの世界は平和ではなかった。国同士の争いや白夜の魔眼の襲撃もある中、明日は会えなくなるかもしれない。不思議な出来事にランギルスを巻き込みたくなかった。
「あの、さっきのことなんだけど……職場の人に聞いてみるね?ランギルスは任務で忙しいと思うし、迷惑かけたくない……名前は言わない方がいいかな?」
「魔法騎士の中で空間魔法の使い手は限られてるし、僕は別に構わないよ」
「……わかった」
静かな部屋に沈黙が流れた。
「ランギルス……あの、シャワー浴びてく……」
そう言い終わらないうちに、ベットに押し倒される。視界は唐突に天井に変わり、組み敷かれる。
「その必要はないよ、僕はもう、我慢できないから」
澄んだ青い目で見下ろされる。早く触れてほしい、と思ってしまった。その瞳に、この匂いに、酔ってしまいそうだった。子宮がきゅんと疼いた。早くひとつになりたくて────……