C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第2章 未知の世界※
努力は報われる、なんて綺麗事だ。漫画の世界じゃあるまいし、現実にはどうにもならないことだってある。
友達にだって、恋人にだって、裏切られてきた。成人したら、親になんていつまでも頼っていられない。22年間生きてきて心から信じられる人なんて、わたしにはいなかった。
────昨日、彼氏にフラれた。3年間付き合ってきて結婚しよう、って言ったくせに。
今思うと、わたしは彼に求めてばかりだったのかもしれない。彼を支える、というよりわたしが彼に依存してしまっていた。なんだか心が空っぽだ。空虚感に襲われる。生きる活力が失われていく。
結局わたしは何かに縋らないと生きていけない。誰かに必要とされたい、誰かに愛してほしい、っていつも誰かに求めてばかりだった。誰かを心から支えたいとか守りたいとか、愛したい、と自分から与えるなんて考えたことがない。そもそもそんな風に思える人に出会えたら、それは運命の人だと思う。
もう生きるの、やめたいな────……
デスクに向かってパソコン打つ毎日に飽きていた。仕事に対して向上心なんてなく、お金さえもらえればそれでいい、と思っている。残業の毎日に笑顔を張り付けて上司の尻拭い。世の中、理不尽なことばかりだ。今日は久しぶりに定時で帰れるので、親友と飲むことになった。
お酒を飲んでいるときは嫌なことを忘れられた。仕事のことも彼氏のことも水に流すように、酔って現実から逃げて。時間は無限に続くもの、と思っていた。どんなに無駄にしても、また明日がくる。明日も同じ世界で目が覚める。
終電ギリギリまで飲んで友達と別れた。ほろ酔い状態とはいえないくらいに飲んだ。ふらふらと終電に乗り込む。
「1番線の最終列車が発車します」
イスの暖かさと電車の揺れが心地よくて、お酒で火照った体ごと深い眠りに誘われていった。このまま目が覚めなければいいのに、と思った。安らかな夢の中でずっと眠り続けていたい、そう思った。
────ふと目を覚ますと、見知らぬ場所に着いていた。そこには、知らない町並みが広がっていた。
携帯を見ると、電源が切れている。頭からさぁっ、と血の気が引いていく。先ほどまでの酔いは完全に冷めていた。異世界トリップ、そんなことが現実にありえるのだろうか。それとも、まだ夢を見ているのだろうか。