C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第22章 君と僕─ランギルスside─
愛とは不思議だ、と思った。僕は僕自身を愛されて初めて、僕になった気がするんだ。
「……忘れないよ、ずっと、ずっと、このネックレスをつけておくから。記憶が抹消されたとしても、肌身離さずつけて、ランギルスのことを思い出すから……」
ミライは切なげな声でそう言った。なぜ僕が別れを選んだのか、何も聞かなかった。僕は夢の話しをしていないのに、ミライは僕の選択を受け入れてくれた。
「何も聞かない、のかい……?」
「ランギルスがわたしのことを想って、決めたことなんでしょう?どんな選択をしてもわたしはランギルスを信じる。それと、ランギルスこそわたしを、忘れ……ないで、ね」
ミライは消え入りそうな声でそう言うと、ミライの腕の力が弱まり、体が微かに震えているのを感じた。僕はミライの腕をほどき、ミライの方に振り返った。月明かりが僕らを照らし、ミライの頰には一筋の涙が輝いていた。僕と目が合うと、ミライは微笑んだ。僕はミライの頰に手を伸ばし、指先で涙を拭った。
「忘れるわけ、ないでしょう?僕はずっと、ミライが好きだ。この世界が平和になって、僕のやるべきことが終わって、兄さんと仲直りできたら、何百年かかっても君を探すよ」
ミライはふふっと笑った。泣きながら。現実的にはありえないことだとしても、僕はまた、君を探してしまうだろう。何百年かけて、生まれ変わって、君のいる世界に行けたなら────……
「……うん、わかった」
ミライはそう言って、微笑んだ。
「ミライ、君には幸せになってほしいんだ。だから、待っててほしいとは言わないよ……でも、君への想いは変わらない」
僕はそう言って、ミライをぎゅっと抱きしめた。
「……わたしもだよ、ずっと、ずっと……好き、だから……ランギルスの心の中にわたしは必ずいる。この先、どんな壁にぶつかっても、ランギルスはわたしに愛されてるんだよ、だから、ありのままで生きて……」
ミライはそう言って、僕の胸に顔を埋めた。上弦の月が西の空から沈もうとしている。力なく僕らを照らしていた。満月までおよそ7日だ。今、僕の腕の中にいるミライがいなくなるんだ。僕らは何も言わずに、抱き合っていた。