C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第22章 君と僕─ランギルスside─
僕の腕の中でミライは眠っている。ミライは僕が何度傷つけても、僕を信じていてくれた。夜が明けたら、僕らは離れ離れだ。僕は拘束され、ミライは暴牛のアジトに帰る。ミライと過ごした時間が嘘のように思えるんだ。ミライを離したくない。ミライのいない世界なんて僕はもう、考えられないんだ。
だが、僕には不可解なことが起きているようだ。僕の憎悪の感情や劣等感を利用し、魔を増強させ、僕の体は乗っ取られているというのか。一体、誰に────……未だに目を覚まさないという兄さんは、僕の攻撃で瀕死状態だと聞かされた。ミライは選抜試験での僕の様子を正直に話してくれた。僕はもう、金色には戻れない。
ミライの規則正しい寝息が聞こえてくる。温かい体温が伝わってくる。好きだ、と素直に思った。ぎゅっと腕に力を入れた。僕は今まで自分の身勝手な想いでミライを傷つけてばかりだった。僕は好き、とか愛、とかそんなもの、結局は自分のひとりよがりだったからだ。だが、ミライはそんな僕をいつでも受け止めてくれた。僕は知ったんだ。好き、と愛、の本当の意味を。それから僕はミライを守りたい、と思うようになった。
この世界で僕らは、幸せになれるはずがなかった。父さんが許すはずがない。僕はヴォード家当主を継がなきゃならなくなりそうだし、決められた許嫁もいる。僕がミライのことを好きだとしても、それは許されないことだ。兄さんがヴォード家を継げばいいことだが、兄さんは僕に全てを押し付けて出ていったし、父さんや母さんも僕が当主になることを望んでいる。現実的に考えたら、僕が背負わなければならなかった。
ミライは僕にラクエでの不思議な出来事の真相を教えてくれたんだ。満月の夜、24時に“真実の愛”で繋がる道に空間を作ることができる。そして、その道で異世界に行ったらこの世界の記憶が抹消される、と。
僕の顔も、僕を愛してくれたことも、僕がミライを愛していたことも、全て忘れるのか?僕だけがミライの記憶を残したままで────……
考えただけで耐えられなかった。だが、それは僕の本音だ。ミライの幸せはどうだ?この世界で僕と幸せになれないのなら、他の誰かがミライを幸せにできるはずだ。