第32章 侑end
翔陽君の言葉に足がピタリと止まる。
侑「・・・・俺の事、何か言うてた?」
背中越しに問う。
日向「・・同じ高校で下宿先が一緒だったって、言ってました…」
侑「・・そんだけ?」
振り向くと翔陽君は言葉を詰まらせたように口を閉じると視線を逸らし頷いた。
侑「・・そうか。」
俺は再び2人に背を向け廊下を歩いた。
高校ん時もそうやったけど、俺らはすれ違ってばっかりやんな?
ポケットからキーリングを取り出してイニシャルの刻印をなぞる。
侑「期待してもうた自分が恥ずかしいわ…」
そんな時スマホが振動し、ポケットから取り出すと、
侑「・・夏希?」
画面をタップし通話ボタンを押す。
侑「夏希?今忙しいんやけど…」
夏希「侑〜?近くで撮影してたんやけど、早く終わったから来ちゃった♡侑も午後からオフって言うてやんな?」
侑「は?来ちゃったって…、今どこ居るん?」
夏希「ラウンジ。」
侑「ラウンジってまさか…」
寮の?と言い掛けた時、
?「あ、あの、、私はこれで失礼致しますので…」
侑「っ⁇」
電話越しに小さく聞こえた声に身体が反応した。
侑「なぁ、今そこに誰が居るん…?」
夏希「フッフー、だぁーれだ♡?待っとるから早よ降りて来て?」
侑「おいっ!ちょっ待てって、」
ツーツーツー…
一方的に通話を切られ、その場に立ち尽くす。
あの声はともみちゃんの声やんな…
意味わからん。
何で夏希と居んねん…‼︎
俺は携帯を握りしめるとラウンジへと急いだ。