第25章 新たな道
「ふぁーねみ。午前中は一件取材受けるだけだから大丈夫ー。てなワケで朝飯、俺の分もヨロネ?ともみチャン。」
「ハイハイ。クロが食べるなら焼き魚にしようかなー。」
確か冷凍庫に鮭の切り身があったな、なんて考えながらキッチンに行こうと立ち上がった時、そっと手を握られた。
クロ「ともみと結婚したら毎朝こんな感じなのかなー?」
いつもは見上げるばかりのクロが私を上目遣いで見上げてきた。
クロは昔から大人びていたけど、今は23歳の歴とした大人の男性だ。
けどこうやって私を揶揄うのは相変わらずで。
「朝から何言ってるんだか…。あ!ジャケット脱ぎっぱなし〜!シワになっちゃうよ?」
クロの手を払い、乱雑に置かれたジャケットを拾う。
クロ「やべ。忘れてた。てかこのコタツが悪い!ちょっと横になったつもりが気づいたら朝だし。」
ぬくぬくとこたつにあたっているクロを横目にジャケットをハンガーに吊るす。