第23章 スポーツの秋。
ハァハァ、と肩を上下させながら侑君の前に立つと、
侑「待ちくたびれたわ。」
と侑君が目を細めて笑った。
「・・侑君の鉢巻、、貸して下さい…」
周りの視線が身体中にグサグサと刺さる中、消え入りそうな声で呟いた。
侑君はええよ、と一言返事をすると、ネックレスでも付けるかのように、鉢巻を輪っかの状態にしてそっと首に掛けてくれた。
侑「俺の彼女は#NAME 1#ちゃんや。
周りの声なんか気にせんと、堂々とゴールしたらええねん。」
「・・うん。ありがとう…」
自然と笑顔が溢れた。
侑君はいつも背中を押してくれる。
周りからは冷やかすような声や、中には心無い声も聞こえたけど、もう大丈夫。
首に掛かった赤い鉢巻を握りしめる。
1番ビリのゴールだったけど、ゴール地点では治君と華ちゃんが手を挙げて待ってくれていた。
私は2人にハイタッチをし笑顔を交わした。
また一つ、大切な想い出が出来たな…。
これが最後の行事かもしれない。
そんな事を思ったら目頭が熱くなる…
こっそりと指で涙を拭い顔を上げた。
今日は最後まで笑っていよう。
その後も部活対抗リレーや選抜リレーなど目玉競技に出場した宮兄弟の活躍は凄かった。
笑いあり涙ありの体育祭は多いに盛り上がり幕を閉じた。