第23章 スポーツの秋。
白の鉢巻をしたその1年生の女の子はキョロキョロと観覧席を見回すと、あっ!と声を上げ一直線に走り出した。
その子が向かった先に居たのはうちのクラス。
治君だった。
[イケメンで選んだ相手は宮治君です‼︎宮兄弟、2人共そっくりな顔をしていますが、治君の方を選びましたー‼︎]
ブッ!
ブフッ‼︎
悪気があるのか無いのか分からないアナウンスに、私と華ちゃんは同時に吹き出してしまった。
華「侑先輩、絶対怒ってますよー」
「フフッ、あそこ見て?侑君友達に押さえつけられてる(笑)」
治君が涼しい顔で白チームの女の子に手を引かれている横で、侑君は周りに押さえつけられながらも何か怒鳴っていた。
華「相変わらずですねー(笑)」
屈託なく笑う華ちゃん。
侑君を見る目が、以前と少し違う気がするのは気のせいかな…。