第23章 スポーツの秋。
「・・侑くん!」
思わず敵チームの名前を呼んでしまい、手で口を覆った。
物凄いスピードで駆けてきた侑君が、棒を抑えていた男子達を踏み台にすると、高く飛び上がった。
そのあまりのジャンプ力に場は騒然となった。
凄い…‼︎
今何メートル飛んだ…⁇
応援席にいた半数以上の生徒が口を開けその姿に目を見開いた。
侑君はすぐに長い足を下へグンッと伸ばすと、その足を赤チームの男子達が引っ張り、侑君ごと棒が傾いていく。
そこからはあっと言う間だった…。
ピピーー‼︎
競技終了の合図が鳴り、最後は侑君の活躍で赤チームの勝利となった。
グラウンドの中央では赤チームの味方に囲まれてもみくしゃにされながらも無邪気に笑う侑君が姿があった。
その一方、倒されてしまった棒の周りで項垂れているクラスの男子。
額には大粒の汗が光り、悔しそうに顔を歪ませていた…。
治君や倫太郎君達が座り込んでいる仲間に手を差し出し、立ち上がらせるとポンッと背中を叩いて励ましている。
その姿に見ているこっちまで胸が熱くなった…
「勝っても負けても、みんなカッコ良いね…。」
佐々木「・・せやな。これでまたファン、増えたやろな…。」
「・・・・。」
複雑な想いの中、戻って来た男子達に拍手を送った。