第23章 スポーツの秋。
「・・たまたま通りかかってみたら随分賑やかやなぁ。」
一瞬にして場の空気が冷える。
大きな声を出した訳ではないのに、よく通る声。
掴み合う2人は引き攣った顔で声の主の方にゆっくりと顔を向け、倫太郎君はサッと携帯を隠した。
侑 治 「き、北さん…」
黒い鉢巻を巻いた北さんと目が合い、軽くお辞儀をすると少し表情を緩めてくれた。
けどその表情はすぐ元に戻され、侑君と治君に視線が向いた。
北「さっきの選手宣誓聞いてなかったんか。
皆んなこの日の為に一生懸命練習してきたんや。その成果を発揮する場をぶち壊したらあかんで。」
侑 治「「・・はい。すんません。」」
2人の声がシンクロし、同じタイミングで頭を下げた。
さすが北さん、見事な説得力!
羨望の眼差しを向けているのは私だけで、周りにいたクラスメイト達は"双子を黙らせた怖い先輩"と目を合わせないよう俯いたり知らん顔をしている。
北「その有り余る体力は競技で発散したらええ。」
そう言い残し去って行った。
佐々木「・・今のバレー部の主将やんな?あの人いくつ?」
「・・・さぁ。」
北さんの背中を見ながら呟いた。
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