第17章 揺らぐ。
トントン
「お待たせ〜」
軽くノックをし、部屋に入ると侑君が何やら慌てて身体を丸めた。
侑「わっ、冷た!」
華「・・・。」
2人共私と目を合わせず、何やら変な空気が流れている。
私は黙ってジュースとお茶菓子が乗ったトレーを床に置くと、侑君の前に仁王立ちになる。
「・・何か隠してる?」
侑「な、なんも!なんも隠してへん‼︎
てか俺もう寝るから、、」
侑君は私に背を向け、布団を被ろうとするが一足先に私が布団を取り上げた。
「こっち見て。」
侑「・・・。」
しーんと静まり返る部屋。
観念した侑君がゆっくりと私の方へ身体を向けた。
「なっ、、何で⁉︎ビショビショじゃない‼︎」
振り向いた侑君のスウェットパンツは何故か下半身がビショビショに濡れていた。
私の後ろでは華ちゃんが笑いを必死で堪えていたようで、ブフッと吹き出している。
侑「ちょっ!勘違いせんでな?位置的に漏らした感じに見えるけど漏らした訳ちゃうで?な、華?・・水、溢してもうて、、」
侑君は華ちゃんに助けを求めるが、華ちゃんは笑いを堪えるように手を口に当てて視線を逸らした。
侑「何やその反応⁉︎ほんまに漏らしたと思われるやん!」
私はまさか、と思いシーツに手を伸ばすとシーツもしっとりと濡れていた。
「・・何溢したの?」
じっと侑君を睨み上げると、気まずそうな顔をしながら布団の中に隠していた水のペットボトルを取り出した。
侑「・・・すんません。ホラ、水やしそのうち乾くかな〜って。」
笑って誤魔化そうとする侑君からペットボトルを取り上げた。
「風邪引いてるのに濡れたズボンと布団で寝て治るワケないでしょ⁈
ベッドから出て早く着替えて!」
私は眉を吊り上げ早口で捲し立てると、侑君はスンマセン、、とぼやきながらベッドから出てきた。