第13章 番外編 1
倫太郎「・・・ない。」
倫太郎君が冷凍庫を開けたまま呟いた。
「何が?」
私は料理をする手を止め、首を傾ける。
倫太郎「パピコ。昨日買って入れといたのに。・・・チッ、侑か。」
倫太郎が眉を顰め、バタンと冷凍庫を閉める。
ん?あれ…。
ちょっと待って?
昨日の夕飯の後、あやかちゃんから渡されたアイスを思い出す。
私がちょうど食器を洗い終えた時、あやかちゃんが冷凍庫を探りアイスを手にし、
あやか「ともみちゃん、半分しよー。」
そう言って私は片割れをもらった。
その後2人でTVを観ながらアイスを食べたのだが…。
それって…。
パピコ‼︎
「倫太郎君っ!ごめ、」
慌ててリビングに駆け寄ると、、
侑「食ってへんって!」
治「ツム、嘘はいかん、嘘は。」
侑「はー⁈嘘ついてへんって!てか何で俺が食った事になってるんや!」
倫太郎「お前しかいないだろ。」
侑「ハー⁇」
・・・一足遅かった。
リビングでゲームをしていた侑君を倫太郎君は冷たい目線で見下ろしている。
侑君も言い掛かりをつけられて額には青筋が立っていた。
「あ、あのー、、倫太郎君…。」
後ろから小さい声で呼び掛ける。
倫太郎「ん?」
「ごめんなさい…パピコ、私が食べました…。」
治「ブフッ(笑)!」
吹き出す治君の横で侑君はジトっとした目を倫太郎君に向けた。
侑「角名〜。今度アイス奢りな?」
倫太郎君は侑君を見向きもせず、何か考え込むと、
倫太郎「・・・あやかさんか。」
「えっ?」
私は何も言ってないのに、倫太郎君の口からあやかさんの名前が出た事に驚いた。
倫太郎「ともみが勝手に食べるとは思えないし、どうせあやかさんから半分渡されて食べんじゃないの?」
私は苦笑いを浮かべ頷いた。
「でも、、ごめんね?今度買っておくね。」
倫太郎「いーよ、ともみなら。」
倫太郎君は笑って私の髪を優しくかき混ぜた。
end…