第9章 文化祭
複雑な気持ちで体育館の方へ歩いて行くと、入り口付近に何やら人だかりが出来ていた。
私と佐々木さんは何事かと思い近づくとその訳はすぐにわかった。
「ファンクラブ…。」
そう、そこにいたのは宮兄弟のファンクラブの人達だった。
練習中は中に入れない為、部活が終わる時間を見計らって入り口で待っているのだろう。
差し入れを手に持っていたり、今日こそツーショットを撮ると意気込んでいる人、中には手紙を握り締めている人もいる。
「・・・原さん、ここで治君待ってたら殺されるんとちがう?」
ファンクラブの人達を見ながら佐々木さんが小声で呟いた。
私は黙ってコクコクと頷く。
後ろでコソコソ話しているのが聞こえたのか、入り口付近に立っていた1人が振り向いた。
その人は茶髪のロングヘアを掻き上げ、こちらを睨んできた。