第8章 それぞれの想い。
「・・・え?」
侑「ともみちゃんは今日誰の事想ってケーキ焼いたん?」
侑君、何を言ってるの…?
心臓が嫌な音を立てる。
言ってる意味がわからず黙っていると、
侑「サムに告られたんやろ?」
「・・・知ってたんですか?」
侑「別に何も聞いてへんけど、見てたらわかるし。で?ともみちゃんはサムの事が好きなん?付き合うん?」
そんな事、聞いて欲しくないのに…。
侑君は私と治君が付き合えば良いって思ってる…?
私はぐっと奥歯を噛み締め俯いた。
「・・・わかりません。侑君には言いたくないです…。」
可愛げのない一言が口から溢れた。
侑「・・ハッ。それもそうやな。変な事聞いたわ。
ま、サムは優しいし、ええんちゃう?
2人共お似合いや。」
侑君は立ち上がると「先戻るな。」
と言い部屋を出て行った。
"お似合い"
頭の中でくり返される言葉。
侑君に言われた一言がズキっと胸を抉る。
こんな事言われて気づくなんて、私は何て馬鹿なんだろう…。
侑君の行動や言動ひとつひとつが気になって、たった一言で私の気持ちは天にも上がり地獄にも落ちる。
侑君が好きなんだ…。
鼻の奥がツンと痛む…。
今更気づいたところでこの恋は実るはずもないのに。。