第12章 《万事屋&土方 ~似た者同士の銀時と土方~》
「オイオイ、こんな所で何してんだ。○○も相変わらず暇してんなァ」
「銀さん、時間を割いて僕らの所に来て下さっているのに、なんてこと言うんですか。もっと感謝しないと!」
「また来るヨロシ。一万回読んだら酢昆布あげるヨ。水に萎びたクッチャクチャの酢昆布だけどな」
「全く、この人達は……」
「○○をこっちに渡してもらおうか」
「土方さん! なんでこんな所に!」
「いきなり出て来て、なんだァ? 警察が横取りなんてしていいのか? 立派な犯罪だぜ?」
「そいつァ、真選組に来る所を間違えて万事屋なんかに来ちまっただけだ。こいつァ、道案内だ。人助けだ」
「勝手に決めてんじゃねーよ。○○はなァ、なけなしの時間を使って、俺に愛のメッセージを届けに来たんだ。てめーなんか眼中にねェ」
「さっきまで暇人扱いしてませんでしたっけ……」
「何言ってやがんだ。そいつの懐をよく見てみろ。赤いもんが見えんだろ。マヨネーズのキャップだ。それを俺に届けに来たんだ。そうだろ、○○」
「俺の所だ!」
「いや、俺の所だ!」
「ワン!」
「定春! 今までどこに行ってたアルか!」
「あ、あの赤いの、定春へのお土産だったんだ。人形の赤い靴……。っていうか、定春、食べちゃったよ。おもちゃとしてあげたんじゃないの? エサ? それ、エサ?」
「○○、定春に会いに来たアルな。こんなバカども見向きもしないで帰ったアル」
「……アホくせェ、俺ァ、元々、アイツが道に迷ってると思って来てやったんだ。市民を助けるために来たんだ。違ったなら構やしねェ。○○に会いに来たわけじゃねーからな。ちげーからな」
「俺だってなァ、本当はわかってたよ? 俺に会いに来たわけじゃねーって。勘違いとかしてねーよ? 銀さん、そんな自惚れた男じゃないよ? ○○が来て喜んでなんか、ちっともいねーからな」
「二人とも素直じゃないんだから……。本当、似た者同士ですね」
(終わり)