第10章 《坂田銀時 ~お題『雪』~》
《坂田銀時 ~お題『雪』~》
「ったく、こんな寒ィ中、なんでわざわざ外に出なきゃなんねーんだ」
銀時はぶつくさと呟いて、大はしゃぎの○○の姿を見つめる。
マフラーに顔を埋め、両手をジャンパーのポケットに突っ込み、銀時は身を震わせる。
「雪だァァ! 真っ白だァァ!!」
「うるせェ!」
空き地の真ん中で天を仰ぎ、○○は大声で叫ぶ。
三月にもなるというのに、かぶき町は一面の銀世界。
「銀さん! 雪だるま! 雪だるま作ろう!」
「ったく。ガキじゃねーんだ。雪くらいでテンション上げてんじゃねェ」
銀時の文句が聞こえているのかいないのか、大張り切りで○○は雪を掻き集める。
ゴロゴロと転がし、まん丸い球が二つ完成。
それを上下に乗せるのかと思いきや、
「……いや、それ、ちげーもん作ろうとしてんだろ」
さらに棒が一本、作られた。
ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の出来上がり。
「完成度高ーなオイ」
銀時は思わず、感嘆の声を漏らす。
「俺のとソックリじゃねーか」
「嘘だ。見栄張っちゃって。銀さんのがこんなに立派なわけないじゃない」
「いやいや、ソックリだって。よくここまで似せられたな」
銀時は顎に手を当てながら頷いている。
「似せるも何も、私、銀さんの見たことないし」
「そうかァ。じゃあ、見せてやる」
○○の腕を掴むと、銀時は有無を言わさずに歩き出した。
万事屋とは反対方向の、ネオン街に向かって。
「こんな寒ィ日は外に出るより、抱き合って温め合うのが一番だろ」
誰もいなくなった空き地の真ん中で、ネオアームストロング以下略が空に向かって存在感を誇っている。
(了)