第3章 苦手、じゃなくて嫌い
並盛の地下に広がるボンゴレファミリーのアジト。
最新のセキュリティーシステムも兼ね備えてあるこの空間の一角に、似つかわない場所があった。
一面畳張りの、いわゆる和室だ。
何畳あるかもわからないほどの広さを襖で区切り、ひとつは居住用、ひとつはボンゴレ内の会議用……とそれぞれ分かれていた。
そんな中にある道場にヒロはいた。
三日前にシキに負わされた手の傷は未だ回復してないが、包帯をキツく巻き、道着に身を包んでいる。
「はっ…!!」
二対の刀を振りかざし、腕や肩の感覚、反応を確かめる。
その様子はまるで舞うように美しくも思える。
それを何度も繰り返している内に額から流れた汗が目に入り、動きを止めたその時だった。
ギシ…と床が軋む音が聞こえ、ヒロは音のした方に目をやった。