第5章 セカンドコンタクト
「考える余裕があるとはな。俺から逃げる算段か?」
「貴様こそ……ッ一体何を企んでいる!?」
キィンッ!と金属音が響く。
やはりパワーではシキの方が圧倒的だ。
ギリギリと刀を交じり合わせていると、不意にシキが顔を近付けた。
「………俺と共に来れば、仲間は無事に逃がしてやろう」
刀が交差する中、耳元でそっと囁かれる。
ハッとしたヒロは勢い良くシキの刀を振り払うが、シキはどうする?とでも言いたげな表情でヒロとの距離を置いた。
そんなことまで知られているのか…!
今ここで全員捕まるのはボンゴレにとっても非常に不利。
ヒロはしばらくそのまま黙っていたが、やがて諦めたように刀を収めた。
「………参りました」
ヒロの言葉に周りがざわめく。
だがシキは満足そうにわずかに口の端を上げると、自分も刀を鞘に収めた。
そしてヒロについて来いと言わんばかりに背中を向けると、試験官の兵士に向かって告げた。
「この者には俺の護衛を任せる。ついて来い」
「し、しかし総帥……っ!!」
兵の息を飲む音が聞こえたかと思うと、彼の喉元に刀が突き付けられていた。
もう少し反応が遅れていたら今頃は、喋る勢いで切っ先が喉に突き刺さっていただろう。
「二度も言わせるな」
低い声とは裏腹に、シキの表情はどこか楽しそうな雰囲気だった。
ヒロは兵士達の意識がシキに集中してる中、軍に紛れ込んでいる仲間達に合図を送る。
(……第一、第二段階はクリア。他の者は直ちに撤退せよ)
空を見上げれば、そこにはいつもと変わらない灰色の空が広がっていた。