第5章 セカンドコンタクト
「沢田綱吉」
「どうしたんですか?雲雀さん」
自室に戻る途中だった綱吉を恭弥は引き止めた。
声のトーンがいつもより低く感じるが、綱吉は気にすることなく笑顔で応える。
「なんでヒロを作戦に入れたの?」
「何かと思えば………隠密行動は今までもヒロに任せていたことです。適任は彼しかいないかと」
「狙われているのにわざわざ敵に送るような真似して、僕が許すとでも思ってる?」
「ヒロは俺の従事者です。いくら雲雀さんでも、ヒロがボンゴレに属している限り俺の命令に従ってもらう約束ですよ」
「任務は僕も一緒に、っていう話だった筈だけど」
二人の間の空気が震える。
殺気を放つ恭弥だが、綱吉はまるで何も感じないかのように平静さを保っている。
「しょうがないですね………と言いたいところですが、もう遅いんですよ」
クスリ、とわずかに笑みを浮かべて綱吉は言う。
「………まさか……」
「ええ、既にヒロには軍への潜入捜査を実行してもらっています」
「……本当に咬み殺されたいみたいだね」
隠そうという様子もなく全てありのままを告げた綱吉に、恭弥は問答無用にトンファーを振り下ろした。