第4章 全ては君のために
二人が帰還したのはそれから数時間後。
ボンゴレファミリー十代目ボスである綱吉はその知らせを受けて、ヒロの部屋へ向かっていた。
「ヒロ、いる?」
コンコンとノックをし扉を開けると、そこにはベッドに横になっているヒロがいた。
「綱吉……」
旧友でありボスである綱吉の姿を確認して、ヒロはゆっくりと体を起こす。
今まで寝ていたのだろう。
応えた時は少し虚ろな目をしていたが、それもまたすぐに普段の鋭い目に変わる。
それを見た綱吉は満足そうに笑みを浮かべた。
「怪我は?」
「大したことはない。今すぐ動ける」
「それなら良かった。ヒロがいないと雲雀さんがずっと不機嫌でね。でもそれより……」
トサッと軽い音を立ててヒロが再びベッドに倒れる。
見上げればそこには綱吉の笑顔。
だが目は笑っているようには見えない。
「ヒロは俺の物だからさ、俺以外の奴に傷付けられて動けなくなるのは嫌なんだよね」
「……わかっている」
ギリ、と手首を強く握り締められ、耳元で低く囁かれる。
背筋にゾクリと来る感覚を覚えながら、ヒロはそれに答える。
「全ては大空の守護者の意思のままに」
笑みを深めた綱吉に、ヒロはそっと口付けた。