第1章 本編 第2章 始まりは、
こゝろと名乗った人物が姿を消した武装探偵社ではちょっとした騒ぎとなっていた
「き、消えた……!?」
「あ、あの人は一体どうなったんですか……!」
「わ、判らない……」
こゝろが窓に飛び込むのを見た後、全員が間髪入れずに窓の外へ視線を向けた
しかし、こゝろの姿はなかったーー彼の姿は忽然と消えたのだ
「一般人だと言っていたが……実は、何かの能力者だったのか……!?」
「え!? じゃ、じゃあ……透明人間になれる能力者……とか!」
「空を飛ぶ異能力者ですかね?」
社員から沢山の憶測が飛び交う中、太宰だけは会話に参加せず、窓枠に肘をつき、顎を乗せながら路地裏へと消えていった2つに分かれた尻尾を見つめた
「……いや、 あの人は……ちゃんと逃げたよ」
太宰の意味深な発言は、議論している仲間達に届く事なく呟かれたのだった