• テキストサイズ

天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第3章 本編 第5章 羅生門と虎


徳冨が居なくなった室内は嵐が去ったように静かであった

その空気を壊すように国木田の溜め息と共に太宰が呼ばれた

「おい、太宰! 一体、徳冨と何があったんだ」

「……さぁねぇ、私も何故、あんなに執拗に狙われるのかも判らなければ、怒られるのかも……判らないよ」

肩を竦めた太宰に再度、息を吐いた国木田は言葉を続けた

「……これ以上、干渉はしないが、払ってもらうものは払ってもらうぞ、彼奴が帰って来なければお前に払ってもらうからな!」

国木田の言葉に太宰は目を見開かせて叫んだ

「えぇっ!? 何故私が!?」

「元々お前も原因なんだぞ!? 関係ないとは言わせん! それが嫌ならば徳冨を連れ戻して来い! 判ったな!」

太宰に向けて指をさすと共に出てゆく国木田に再度、肩を竦めながら見つめていたが、彼はその背中を見送ると同時に呟いた

「……国木田君に言われなくても、健次郎君は必ず連れ戻すよ」

その言葉は誰にも聞かれずに呟かれた

そして、太宰は小さく笑みを浮かべながら告げた

「……"漸く、彼を見つけられたのだから"」

目を閉じると共に太宰の脳裏には先程、心の内を叫んだ徳冨の表情が思い浮かぶ

「本当に、健次郎君は寂しがり屋だな……」

しかし、それは何処か悲しげな表情でもあった
/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp