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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第53章 最終話 evermore




「はい、目を開けてください」


そう言われて、わたしが目を開けると鏡に映る自分と目が合った。


「わ…すごい…綺麗!
って、自分で言うのも変か…」

「ふふ。変じゃありません。とっても綺麗ですよ!」


そう言われてまた鏡の中の自分と見つめ合う。

頭にはティアラ、顔は華やかにメイクを施され、今からわたしが着るのは純白のウェディングドレス。

そう、今日は陣平くんとの結婚式の日だ。


あの11月7日から4ヶ月。
生死を彷徨った重症から、研修医として勤務できるまでに復活することができたのは、これもまた奇跡的で、藍沢先生には若いから回復も早くてよかったな。なんて皮肉も言われた。

意識を失っている間、このまま死ぬんだ…と思ったし、もしかしたら元いた世界線に戻されるのかもしれない。と覚悟もしてた。

けれど、陣平くんが何度もわたしの名前を呼んでくれたおかげで、ちゃんと陣平くんの隣に戻って来れたんだと思う。


レースの袖があるプリンセスラインのドレスに身を包むと、感動で思わず涙が溢れそうになるのをグッと堪えた。

陣平くんと本当に結婚するなんて夢みたいで、なんなら夢なら覚めないで!と今でも思ってるぐらいだ。


「さ、新郎様にお披露目ですね」


介添人さんに促され、控え室を出てチャペルへ向かう。

入り口のところで、紺色のタキシードに身を包んだ陣平くんの後ろ姿が見えた。

その背中をつん…と指で叩くと、陣平くんが振り返りわたしの姿を目視する。


その瞬間、陣平くんが思わず両手で自分の顔を覆った。


「え…陣平くん?」

「っ…やべえ…」

「お、おかしい?」


慌てて自分のドレスを確認するわたしだけど、陣平くんから鼻を啜る音が聞こえ、彼が涙を堪えきれずにいることを察した。


「反則だろ…それ…」

「感想、それだけ?」


泣いてる陣平くんをいじめたいなんて、鬼かな?



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