第52章 愛
松田side
米花中央病院に到着すると、すでに爆処の連中が解体に向かった後だった。
この時点でほとんど解体に成功しているという情報を得た俺はホッと胸を撫で下ろし、おそらく病院内にいるであろうミコトのことを考えていた。
無事だろうな…?ミコトは…
あいつが心配でたまらなくて、着信を飛ばしたが出なかった。
恐らく、避難指示や何やで院内はそれどころじゃ無いんだろう。
まだ誰かが爆発に巻き込まれたとか、死亡したという類の報告は入ってきていない。
大丈夫だ。ミコトは。
あいつは俺が思っている以上にちゃんと強い。
それに、萩原がついてる。
きっと萩原が、ミコトのことを守ってくれるはずだ。
そう思った瞬間のこと
ドォオオォオーーンッ
「きゃ…!」
「っ!なんだ!?」
大きな爆発音があたりに鳴り響き、そこにいた人間はみんな驚いて病院の方を見た。
見ると、2階の窓から煙が上がっている。
「ミコト…!!」
「ちょ、松田くん!待ちなさい!!」
一目見て爆弾だと分かった俺は、居ても立っても居られず、佐藤の静止を振り切り爆発の現場へと走った。
いくら、頭でミコトは大丈夫だ。と言い聞かせても、ちゃんとこの目であいつが無事なことを確かめたかった。
ほら、やっぱりな。
俺の取り越し苦労だぜ。
なんて言って、爆発で怪我をした人間の手当てをするミコトを見て胸を撫で下ろす。
そんな未来予想図が頭の中に繰り広げられながら、俺は走った。
逃げ惑う人でごった返す院内。
何度も人とぶつかり、その度にミコトじゃないことを確認し、さらに奥へと走っていく。
爆発があったのは確かこの奥…
その場所へ足を踏み入れようとした時、目線の先に人だかりが出来ているのが見えた。
近づくにつれてその様子が鮮明に映る。