第48章 Marry ☆
それから、わたしは国試の勉強と米花中央病院でのボランティアで多忙な日々を送り、陣平くんは相変わらず捜査一課で都内を走り回る毎日が続いた。
ある日、ボランティア終わりに病院の食堂でサンドイッチを食べながらこの病院の見取り図を開き、爆弾が仕掛けられそうな場所に印をつけている時だった。
「なんだよ。試験勉強かと思いきや。」
わたしが熱心に机に向かう後ろから話しかけてきたのは
「藍沢先生!」
「試験落ちたらどうすんだよ。勉強しろ」
先生はそんな憎まれ口を叩きながら、サンドイッチとコーヒーが乗ったトレーを机に置き、わたしの隣に座った。
「わたしにとっては試験より大事なんです!」
「そ。」
「でも、よく考えるとこの病院広すぎますよね…
爆弾を仕掛けられる場所の見当なんて全然つかない」
「…まあけど、自分が犯人の身になってみたら、いかに怪しまれずに仕掛けるか考えるけどな」
サンドイッチを片手で食べながら先生が続ける。
「犯人の身になる…」
「あぁ。例えば、人通りが少ない場所よりも、人通りが多い場所。」
「?どうして?」
「人通りの少ない場所で万が一誰かとすれ違ったら相手に顔を覚えられる可能性が高いだろ?」
「たしかに!」
「更に、自然な行動で仕掛けられる方法を考えるかな。俺なら」
「…ゴミ箱にゴミを捨てるふりして爆弾を入れるとか?」
「ゴミはすぐに回収されるから、俺ならパス」
「ですよね…うーーーん…」