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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第1章 プロローグ




萩原家の墓から、タクシーを走らせ20分
また別のお寺に到着した。

寺でバケツを借りて水を汲み、砂利で転ばないようにヒールで歩きながら着いた先は


松田家の墓


と書かれている墓石の前だ。


「陣平くん。…今日ちょっと寒いね」


まるでそこに彼がいるみたいに話しかけるわたしだけど、もちろん返事は返ってこない。

松田陣平

兄の小学生からの友人で、警察学校の同期。


兄が亡くなった4年後の同じ日に同じ爆弾犯に殺された。


わたしはずっと陣平くんが好きだった。
わたしが小学生のとき、初めて出会ってからずっと、ずっと
彼に恋をしていた。

そして今も、少しも忘れることができず、彼のことが好き。

もうこの世にいないのに…


「陣平くんは、わたしが結婚するって言ったらなんて言う?」


相手は東都大学医学部卒
開業医の息子で、顔よし頭良し、性格も良し

ミコトにしては、良い男捕まえたって言うかな。



少し冷たい秋の風が吹いた。

上を見上げると、綺麗な秋晴れが広がっていて、わたしは天の邪鬼にもその空を睨んだ。


神様は、意地悪だ。

こんなに綺麗な空を描くことができるのに、どうして?


お兄ちゃんも、陣平くんも、この世から攫っていってしまったの?


涙がわたしの目から一筋流れた。

毎年毎年、この日は神様を呪う日だ。

このあとわたしに、神様が眩いほどの奇跡をくれるなんて、思いもしなかったから。


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