第30章 ライバルとの初対面
朝
アラームで起こされるはずが、わたしはカーテンの隙間から覗く陽の光で目が覚めた。
「んー…今何時…」
眠気目のまま、手探りで携帯を探して時間を確認すると、ただいま朝の8時
「8時かぁ……っえ!?8時?!!」
マヌケな声を出した後、わたしはガバッと飛び起きた。
何故なら今日は8時過ぎに引っ越し業者が来るため、7時に起きるつもりだったからだ。
つまり完全完璧の寝坊だ。
「やばい!もう来るじゃん!!」
ハッと隣を見ると、陣平くんは気持ちよさそうにすやすやと眠っている。
くっ…寝顔、かわいいな…
もう何度も見慣れてる自分の彼氏の寝顔にズキュンと心を撃ち抜かれながらも、わたしはユサユサと陣平くんの肩をゆする。
「陣平くん!陣平くん!!
起きて!寝坊だよ!!」
「んー…」
陣平くんは唸り声をあげたあと、寝ぼけたままわたしの腕を掴んでまたベッドへと誘う。
思わずバランスを崩したわたしは、陣平くんに引っ張られるがまま、ベッドに倒れ込んだ。
「ちょ、陣平くん!?」
「ミコト…」
寝ぼけた声でわたしの名前を呼びながら、あろうことかわたしの服の下に手を滑らせてくる陣平くん。
「だ!だめだよ!もうすぐ引っ越し業者の人が来るんだよ?!」
「んー…柔らけ…」
「もう!!陣平くん!!…っん…」
ピンポーーン
言ったそばから、引っ越し業者のお目見えだ。
「チッ…早すぎだろ来るの」
無機質なインターフォンの音で目が覚めた陣平くんは、朝のお楽しみを邪魔されて理不尽に文句を言いながら玄関に向かった。
危うく、今日の引っ越しが台無しになるところをギリギリで回避したわたしは、ホッと胸を撫で下ろした後、陣平くんについて引っ越し業者を出迎えに向かった。
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