第25章 2年も早い異動
仕事で忙しいのに、合間を縫って電話をかけてきてくれた。
それがすごくすごく嬉しくて、わたしは電話を切った後ベッドに潜り込んでさっきの陣平くんの声を思い出す。
好きだなあ…
はやく会いたいな…
次に会えるのはいつかな…
そう思っていると、ふと彼を呼びに来た女の声が気になった。
捜査一課って、てっきり男ばかりかと思ってたけど、女性もいるんだ…
女刑事ってやつ?カッコいいな。
陣平くんは、もともとお姉ちゃんが好きだったわけだし、可愛い系よりかっこいい系がタイプ?
陣平くんがあの声の人のことを好きになりませんように。
そう思うと、ふと陣平くんが言った言葉を思い出す。
お前が興味なくても向こうがあるだろ
そうだ。陣平くんが興味なくても、あの人が陣平くんを好きになる可能性はある。
好きになりませんように。
と、会ったことのない声だけしか聞いたことのない陣平くんの同僚に、ライバル心を燃やしてしまう。
まあ、蓋を開けてみれば意外と男っ気のないイケメンお姉さんかも。
もしくはベテランのおばちゃん刑事かも
声は若かったけど。
そんな風に色々妄想しては、思う。
「あー!陣平くんに会いたいー!」
捜査一課は思ったより過酷だった。
会えないこともそうだけど、もうひとつ。
あの人が陣平くんを好きになる。
そんな恐れていたことが現実になることを、わたしはまだ知らなかった。
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