第25章 2年も早い異動
松田side
季節は夏を迎えた。
毎日毎日茹だるような暑さの中、気づけばあと数ヶ月で萩原が死んで2年経つというとき、俺は上司に呼び出された。
なんだ…?
俺、なんかマズイことしたか?
まさか、この間勤務中にサボって昼寝してたのがバレたのか?!
それ以外皆目検討がつかず、俺は内心びくびくしながら指定された警備部の会議室のドアをノックした。
コンコン
「おー。入れ」
「失礼します」
そう言って部屋に入った俺に、上司はある1枚の紙を俺に見せた。
そこには「異動通知書」と大きな文字で書かれていて、俺は思わずそれをバッと手に取った。
警視庁警備部機動隊 爆発物処理班
松田陣平 巡査
〇〇年8月1日付をもって、警視庁刑事部捜査一課への異動を命ずる。
形式張った紙に、たった数行そう書かれていた。
「え?捜査一課に異動?」
目の前の紙に書かれていたことと全く同じ単語を、俺は思わず聞き返した。
「あぁ。良かったな、松田!明日からだ。」
「それは…俺の異動希望が通ったってことすか?」
俺はずっと、萩原を殺した爆弾犯を捕まえるため、捜査一課特殊犯係に転属を希望していた。
今まで幾度となくその異動願いは蹴られて来たが、ようやく認められたと言うことか…?