第23章 喧嘩のとある日 ☆
松田side
「で、映画は面白かったのか?」
「え?」
ミコトを抱いた後、そのまま寝ようとベッドで腕枕をしてるとき、不意に気になってそのことを聞いた。
俺だって、悪いって思ってるんだ。
ミコトが楽しみにしてたの知っててドタキャンしたことを。
「あー…
それが、全然面白く無かったの」
「え?」
帰ってきたミコトの反応は思っていたのとは違っていた。
目を丸くする俺に、ミコトはあははと笑いながら言う。
「ドラマ版は面白かったのに、映画は全然だったの!
だから、そもそも映画やめて陣平くんの部屋に居ればよかったなーって観ながら思ってた」
「…お前は、ほんと優しいな」
「へ?」
俺に怒っているなら、多少面白く無くても、無理して面白かった!って言えばいいのに。
そしたら、俺は罪悪感も感じるし、埋め合わせもしようとする。
そんな計算、ミコトには少しもないらしい。
頭いい癖に、やっぱりバカだな。
「バカだけど、大好きなんだよな…」
はぁあ…とため息をついてミコトを抱き締めると、ミコトはまたプリプリと怒って言う。
「バカって言う方がバカなんです!」
「ガキかよ」
「…陣平くん、本当にわたしのこと好きなの?!」
ミコトは俄に信じがたいと首を傾げて俺を見た。
そんなミコトに、俺はいつもの決まり文句を悪びれも無くぶつけた。
「大好きだ。バァーカ!」
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