第23章 喧嘩のとある日 ☆
すっかり春の暖かさになってきた今日、陣平くんとデートの待ち合わせに向かうため、わたしは桜の木が並ぶ通りを鼻歌歌いながら歩いてた。
お気に入りのラベンダーのトレンチコートに白のワンピースを着て、陣平くんが誕生日にくれた腕時計が腕に輝いてる。
ショーウィンドウの窓に映った自分の姿に、ふふっと心を躍らせながら、わたしはウキウキ気分で待ち合わせ場所に向かった。
陣平くんとのデートは久しぶりだ。
いつも早めに来る陣平くんだけど、今日はわたしの方が先みたいで、まだ彼の姿は見えない。
まだかな、陣平くん。
今日の服装どんなだろう…
何着ても似合うんだよね、わたしの彼氏!!
そんな風に今か今かと、腕時計をこまめに見ながら待ち合わせ場所で彼が来るのを待った。
が
「遅い…」
待ち合わせの駅前に到着してから40分。
待ち合わせ時間はとっくに過ぎているのに、陣平くんは現れない。
何かトラブルでもあったのかな…
と、電話をかけるも繋がらない。
おかしい。今日は非番のはずだし、いつもマナーモードにしない陣平くんが電話に出ないことはほとんどない。
「どうしたんだろう…まさか…」
もしかして途中で事故に遭った?
それとも、あの観覧車での出来事が今日になった?
どうしよう…まさかこんな突然あの運命の日がやってくるの?!
まだあと3年あると思っていたのに…
だんだん自分の顔が青ざめていくのが手に取るようにわかった。