第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
翌日
雪山の頂上に立った瞬間、昨日の夜に陣平くんにスノボを教えてほしいと言ったことを激しく後悔した。
「じじじ!陣平くん!!!やっぱり無理!滑るの無理!!」
「あー??お前がスノボ教えてくれって言ったんだろうがよ」
「だって!!いざその時になったらやっぱり怖いもん!!
それに、昨日より吹雪いてるし、前も見えないよお!!」
そう言いながら一向に降りようとしないわたしに、陣平くんは呆れた様子で笑った。
「お前ほんと、バカだな」
「バカ!?陣平くんより絶対頭良いから!」
「はいはい。んじゃ、滑るか」
そう言って陣平くんはわたしの背中をとんっと押すと、わたしの板はゆっくりと斜面に沿って傾いていく。
「や…ま、待って!待って!!!!!」
待ってと叫んだも虚しく、わたしは急斜面の雪山を滑り落ちていく。
し、死ぬ!!!
死ぬ!!!!!!
陣平くんを死なせないためにタイムスリップしてきたはずなのに、わたしが死んじゃう!!
なんて考えながら、転ばないように夢中でバランスを取っていると、気づけば一番下まで降りて来ていた。
後ろからわたしを見守りながら滑って来た陣平くんは、わたしの方へ駆け寄って来て頭を撫でながら笑う。
「すげーじゃねぇか。一人で滑れたな!」
初めて出会ったあの日から、少しも変わらない屈託のない笑顔で笑う陣平くん。
「ずるい…」
「あ?何がだよ」
「ずるい…好き…バカ…」
「バカはお前だろ?」
こうして、わたしと陣平くんの初めての旅行は色々とトラブルはあったけど、一生忘れられない大切な思い出になった。
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