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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第20章 兄が愛した人 ☆




松田side


季節は巡って11月7日がやってきた。

萩原がこの世から消えて、もう1年が経った。
そして、俺とミコトがただの幼馴染じゃなくなってからも、1年が過ぎた。

萩原家之墓

そう書かれた墓石の前に立つ俺は、手を合わせながら萩原に語りかける。


萩原…
お前がいなくなってもう1年だってよ。
信じられねぇな。

この1年で、変わったことはたくさんある。

例えば、俺たちの上司だった人が異動して、今は別の野郎が俺の上司だ。
駆け出しだった俺に、後輩もできた。

そして、俺はミコトと恋人同士になり、初めて手をつないだ。
初めてキスをした。
初めて、身体を繋げた。

びっくりだろ?萩…
怒ってるか?俺の妹にやらしーことばっかりしやがってと。

それとも、喜んでくれているか?

俺は萩に謝らなきゃなんねぇこと、いっぱいある。

ミコトのこともそうだが、お前を殺した犯人の手がかりを少しも掴めてねぇこと。
俺が唯一、お前にできる弔いなのにな。

来年には、いい報告ができるようにまあがむしゃらにやるからよ。
見守ってくれよな。


そう萩原に伝えたあと、ゆっくり目を開けて隣で手を合わせるミコトを見た。

相変わらず、手を合わせる時間の長いこと。
年始の初詣のときも、随分長い間神様にお願いごとをしていた。

ミコトは今、萩原に、大好きだった兄貴に、何を話しているんだろうか。

ミコトの横顔は萩にどこか似ている。
長いまつげ、通った鼻筋にシュッとしたフェイスライン。

いつの間にこんなに美人になったんだろう。


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