第18章 わたしの知らない陣平くん ☆
ドキッと性懲りも無く飛び跳ねるわたしの心臓はどうかしてる。
だけどわたし、可愛いじゃなくて綺麗だと思ってもらいたい。
それに…
「ねぇ…」
「ん?」
繋がったまま、わたしの呼びかけに首を傾げる陣平くんに、わたしは尋ねた。
「陣平って呼んでもいい?」
お姉ちゃんも、さっきのひとも、陣平って呼び捨てにするの。
そっちの方が、彼女っぽいよね…?
呼び捨ての方がより親密な関係のような気がして。
けれど陣平くんの返事は
「却下」
「っえ?!どうして??」
理由は?!と必死に陣平くんを見つめて聞くけれど、陣平くんは入れっぱなしじゃだんだん我慢が効かなくなって来たらしい。
「どうしても。
…ミコト。動いてもいいか?」
「…ダメ」
「おい…」
仕返しするように、今度はわたしは却下すると、陣平くんが困ったようにわたしを見た。
「陣平って呼ぶ方が、特別じゃん」
「陣平くんの方が特別なんだよ」
「どうして?」
まるで子供のように、何で?どうして?を繰り返すわたしに、陣平くんは少し迷った後観念して照れた顔で言う。
「…お前だけだから。
俺のこと陣平くんって呼ぶのは」
「え…」
「親も千速も陣平って呼ぶし、萩は陣平ちゃんだし、それ以外は大抵松田呼び。
お前だけだよ。俺のこと陣平くんって呼ぶのは。
こっちの方が特別だろ」
髪を撫でながらそう言った陣平くんは、わたしのおでこにキスをした。