第17章 太陽と水着とたこやき
この日が楽しみすぎて、わたしは朝6時に目が覚めた。
外は眩しいぐらいの晴天。
と言うより、猛暑。
絶好のプール日和だ。
わたしは日傘をさしながら、陣平くんと待ち合わせしてる駅前に向かった。
駅が見えてきてすぐに陣平くんがいるのを見つけたわたしの目は、どれだけ人混みでも陣平くんをすぐに見つけることができる能力を持ってる。
陣平くんは、待ち合わせにはいつも先に来て待っててくれる。
今日も、こんなに暑い中わたしよりも先に来て、流れる汗を拭いながらわたしが来るのを待っていた。
「陣平くん!」
彼の名前を呼びながら駆け寄ると、わたしに気付いた陣平くんは笑顔を向ける。
子供っぽく笑う彼だけれど、最近は少し大人っぽくもあり、笑顔を見るだけでドキドキするわたし。
「あっちぃな」
「何分前に来たの?
日陰で待っててよかったのに」
「オメーが俺を見つけられないだろ?」
そう言って陣平くんはわたしの手を握った。
まるで当たり前のように手を繋ぐこの瞬間が好き。ものすごく。
「じゃあ早く行こうぜ。
暑くてしょうがねぇ」
「うん!」
2人で手を繋いで電車に乗り、窓の外を眺めながら陣平くんに話しかけた。
「陣平くんとプール、何年振り?」
「小学生の頃行ったっきりじゃねぇ?
海はもっと最近行ったけど」
「…わたしが陣平くんに振られたあの日ね」
ほんの少し意地悪をしてやろうと、陣平くんに振られたとワザとチクチク言うと、彼はバツの悪そうな顔をしながらわたしの頭を撫でた。
「もう時効だろ」
「まだ数年しか経ってませんー!」
「というか、もうこうしてお前に逮捕されてんだからよ」
そう言いながら陣平くんは笑ってわたしと繋いだ手を少し上にあげた。
繋いだ手を見ると、陣平くんの手は大きい。
ゴツゴツしてて男の人の手だ。
手を見ただけで、わたしの心はまたきゅんと高鳴る。
わたしはたぶん一生こうして陣平くんにときめいて、恋をして、愛しさが増していくんだろう。
時効なんて、無いんだから。