第16章 ある夏のはじまり
陣平くんと付き合い始めて、初めての夏がやってきた。
「ねえミコトー!これあげる!」
1限目の講義が終わった時、ちょうど2限からのアユと落ち合った時、彼女からあるものを渡された。
「なにこれ?」
「プールのチケット!
来週からオープンするんだけど、私バイトでたこ焼き売ってるから遊びに来てよ!
陣平さんと♡」
陣平くんとプール!!!
…でも、陣平くんは普段仕事が大変そうで、わたしと会う日は基本お家デート。
プールなんて一緒に行ってくれない気がするなあ。
そう思いながらも、一縷の望みをかけてわたしはそのチケットを受け取った。
ちょうど今日陣平くんと一緒に夜ご飯を食べることになってるから、聞いてみようかな。
「それにしても、あの学祭の新出くんと陣平さんのキス、めちゃくちゃおもしろかったね」
「面白くないよー!
自分の彼氏が他の男とキスしてるの見るの、なかなかないよ?!」
「まあね?
でもあの一件以来、新出くんと陣平さんのCP推してる女子めっちゃいるらしいよ?」
「…勘弁してください…
わたしの彼氏だからね?!」
あらぬ話題が巻き起こっていることに驚いて。なぜかアユにそう釘を刺したわたし。
アユに、はいはいー。といなされながら、わたしたちは2限の講義室へと向かった。
「…で、どっちが左でどっちが右なの?
陣平くん普段は攻めっぽいけど受けの陣平くんも見てみたい…」
「めちゃくちゃ真に受けてるじゃん!!」