第12章 大人の階段 ☆
陣平くんがプレゼントしてくれたワンピを着ると、陣平くんが優しく微笑んで言ってくれた。
「可愛いじゃねぇか」
「ほんと??」
陣平くんが選んでくれたワンピースを着て、陣平くんが可愛いって言ってくれる。
最高の誕生日。
最高の大人の幕開けだ。
わたしは上機嫌に陣平くんの腕に手を回し、2人で最上階の展望レストランへと向かった。
初めて入るそこは、本当に大人な雰囲気のレストラン。
26歳のわたしですら立ち入ったことがないぐらいだ。
わたしたちは東都タワーが見える窓際の席に案内された。
「ねえ、ハタチになったってことは、ワイン飲んでいいよね?!ね?」
実はワインが大好きなわたし。
酔いやすいくせに、飲み会でワインを飲んで潰れる。
これが恥ずかしながら26歳のわたしのいつものパターンだ。
ワインリストを見てどれにしようかなあと選ぶわたしを見て、陣平くんが笑いながら言う。
「は…。まるで、ワイン飲んだことあるような口ぶりだな」
ギクッ…
さすが警察官!鋭い!
と感心している場合じゃない。
どうにか言い訳を考えていると、陣平くんが鋭い目つきでわたしを見ながら口を開く。
「お前、まさか…」
「え?!」
未来から来たってバレた?!
陣平くんがじっとわたしの目を見てくるから、逸らせなくてわたしもじっと見つめ返した。