第11章 ハタチになる日
12月12日がやってきた。
朝起きて携帯を開くと、アユからメールが来ている。
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ミコト お誕生日おめでとう♡
ようやくハタチだね!
今度2人でワインバー行こ♪
20歳がミコトにとってスペシャルな1年になりますように!
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そう。
今日12月12日はわたしのハタチの誕生日だ。
とはいえ、一度成人を経験してるわたしはあまり大きな感動はない。
今日からお酒が飲めるー!と心の中でバンザイをする程度にはウキウキしてるけど。
今日は陣平くんは仕事だし、会う約束もしてない。
というか、わたしの誕生日なんて陣平くんは知らないかも…
本当に昔、小学生の頃に一度教えたっきりだったし、それ以降お祝いは基本家族でしていた。
お兄ちゃんが、今日ミコトの誕生日なんだ。と去年、一昨年にしていない限り、覚えていないだろう。
でもまあ、誕生日に陣平くんに会えなくても、何も悲しくない。
何でもない日に陣平くんに会えるだけで素晴らしいと思うのだから、タイムスリップしてきて正解だなと思う。
きっと過去のわたしがもし陣平くんと付き合ったとしたら、わたしはワガママにもお仕事休んで!とせがんでいた気がするから。
今日はごくごくいつも通り、大学に行って、家に帰って家族とケーキを食べて、1日が終わる。
そう思いながら、わたしは2限の解剖学の授業へ出るために自宅を後にした。