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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第8章 叶わぬ願いと叶った想い




「…ごめんね、なんか…陣平くんにそんなことまで言わせて…
自力で立ち直るから、心配しないで?」


強がって、無理矢理笑いながらそう言うと、陣平くんは、真剣な顔してわたしの瞳を覗く。


「それは、俺、振られたってこと?」


そんな、思わせぶりなことを言い出す陣平くんに、慌ててわたしは返事をする。


「だ、だって!
…わたしのこと、好きとかじゃないでしょ?」

「…悪かったな」

「ほら!」

「いや、そうじゃねぇよ。
…そう思わせちまって、悪かったなってこと。」


そう言うと、陣平くんはわたしの頬に手を添えた。

そして、わたしの瞳の奥を覗き込みながら、今までに見たことない顔で言う。



「好きだ」

「え…」



「お前が好き」



好き……?
陣平くんが、わたしを好き?


20年間、ずっと聞きたかった言葉を、陣平くんから貰えた。

わたしの目から、涙が溢れた。
お兄ちゃんが死んだ時や、陣平くんがいなくなった時に流した涙とは比べ物にならないぐらい、澄んだ涙が。


「それは、嬉し涙か?それとも…」

「嬉し涙に決まってるじゃん!」


陣平くんの言葉に被せるように、わたしは思わず声を荒げた。


「好き…陣平くん。
…ずっと、好き」


小さい頃からずっと、陣平くんがいなくなった後もずっと。

陣平くんが好き。


「両思いってことな」


陣平くんはそう言って笑った。



こうして未来の歯車は、少しずつ掛け違えて動き出した。


叶わなかった願いと、叶った恋


この先叶うものと叶わないものの違いが、わたしにはまだわからなかった。

だけど一つだけ希望が見えた。

陣平くんの命を救える可能性は、きっとまだある。


そんなかすかな希望を抱いて、わたしは陣平くんの彼女になった。




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