第12章 センビタリア
side場地
「俺まだ甘えてねーんだけど?」
もう寝よっかなんて言うからまだくっついてたかった俺は意地悪く我儘を言ってみた。
『はっっ!
そうだよね私のばか!』
何か思い出したように両手を大きく広げた東堂にハテナが浮かぶ。
「?」
『はいっ!ぎゅーしてあげる!
おいで圭介くん!』
はは。そういう事ね。
「ん。きらあったけえ。」
広げられた両腕に素直に抱きしめられてみた。
俺が思ってた“甘える”とは違うけどこれはこれでいい。
『よしよし、何があったか知らないけど
私は何も聞かないから。ずっとそばにいるから。』
「東堂…ありがとな…。
もーちょい踏ん切り着いたら話させて。」
『うん、いつまでも待ってるよ』
いつも欲しい言葉をくれる。優しくて心地よくて温かい声。ああ好きだな。絶対ちゃんと話すから…俺の踏ん切りが着くまで待っててな…。でもやっぱぎゅーだけじゃ足んねえな…。
「東堂…足りない。」
抱きしめる腕に少し力が入ったのがわかる。
かわいいな…そうじゃねえよ…
「違ぇよ…ぎゅーじゃ足りない。」
『あ、ごめん勘違いしちゃった!
何して欲しい?なんでもするよ?』
あーあ、簡単に何でもとか言っちゃって
「何でもって言ったな?
取り消しとかナシだかんな?」
『え、うん…?きゃっ』
よく分かってないままの東堂を横抱きにしてベッドにおろす。
「何でも…だよな?」
『ん…いや…えっと。』
「東堂…」
俺の下で明らかにさっきまでとは違う雰囲気を感じとった東堂の瞳が揺れる。綺麗だな。三ツ谷もこうやって東堂を見つめてたのかな。嫌だな…。
『…圭介くん?』
「三ツ谷と過ごしてた1週間…夜は何してたんだ?
何もせずただ寝ただけか?」
みるみるうちに顔を赤くしていく東堂。三ツ谷にされたこと思い出して照れてんのかよ…?2人は1週間も一緒にいて何してた…?知りたいけど知りたくない。もしかしてもう最後までシてるかもしんねえじゃん…。